安心して話せる人は実はとても少ない。実は、なんて前置きをつけなくてもわかるぐらい、本当に少ない。会っている最中はどうにかなるとして、問題は会う直前と会った直後で、このときの吐き気は自分ではどうしようも出来ないから、仕方なく薬を処方してもらった。
さよならした瞬間に、少しだけ間を空けてから「ごほっ」と咳き込む。吐きそうになる。飲んだお酒も食べたご飯もすべて出したくなるのを我慢して、ペットボトルのお水を流し込む。ふぅ、と胸に手を当てて呼吸を整えて、携帯電話を覗く。
っていう、いつもの場面。

安心して付き合える人は本当に少ない。一緒にいたいと思う人にも緊張してしまう。大丈夫なのは、家族と、深夜に電話を掛けてくる友だちと、突然呼び出してくる友だちと、好きな人。