どっと疲れる。
さすがにこの世界に住み始めて長くなるので、それに伴い付き合いが長くなった人や、知っている顔も増える。彼ら彼女らの大半と接していると、心のどこかに10代のあの頃が見え隠れすることがたまーにある。別にそれはどうでもいいんだけど。
この世界での縁の切り方は簡単だ。アカウントを削除すれば終わり。その後は、大体、さようなら。電話番号を変えてもいいし、携帯ごと捨ててもいい。連絡手段さえ失くしてしまえば、実家の電話番号も知り得ない我々は、二度と出会うこともない。

10年ほどの付き合いになる友人に、この前電話した。ただ親指で何度かタップすれば繋がるのに、どうしてもできなかった。半年ほど思い悩んでいただろうか。
意を決して通話のマークをタップしたら、聞こえてきたのは機械的な女性の声だった。お掛けになった電話番号は、現在使われておりません。番号をお確かめになって、もう一度、お掛け直しください。おいおい冗談はやめてくれよ、お前とどれだけ長い間つるんできたと思っているんだ、と再度掛け直すも、同じ女の声がした。

やってらんねーよな。