大学時代の友人と、新宿三丁目の「どん底」で飲んだ。
数々の著名人が訪れた新宿で最古の建物、というその店は、昭和26年創業らしく、何か見覚えのある数字だなと思ったら父親の生まれた年だった。61年? ということは、父親もいつの間にか61歳になっていた、のか? 還暦をわたしの知らない土地で迎えている彼は、今何を思い、何をして、これからどんなふうに生きるつもりなのだろう。


それはさておき「どん底」だ。とても良い店だった。最後に通される、という三階のカウンター席で二人でゆっくりと飲んだのだが、手際の良いバーテンダーさんの作業を見ながら最近のことについて(主に恋愛話)話すのは、なかなか居心地の良い空気だった。「ここ、最後に通す席なんですよ」とわたしたちが店を出ようとする直前に話しかけてきたバーテンダーは、割と格好良かった。

友人はジントニックを頼み、わたしはベイリーズミルクを頼んだ。それと、オススメと書かれていたピザ。チーズがたっぷり乗っていて、とてもおいしかった。会話も弾み、なんだかんだで4時間程度ずっと話していた。会うのもなんだかんだで久しぶりだったから、話すこともたくさんあった、んだろう。わたしが自分のことをたくさん話すのは珍しい。彼女は話せる人の一人。大切な人。