好きな人と、その先輩と、共通の友達と後輩と一緒に飲んだ。隣に座って少しだけ距離を空けていた彼は、遅れてきた後輩が来ると席を詰めた。密着した。
斜向かいに座る友達が就活の話をしていた。彼は一年間留学していたからこれから就活。思い出したくもない話を意気揚々としている彼を見ていたら気持ち悪くなってきて、小さい声で「気持ち悪い」と呟いた。隣に座る好きな子が「飲み過ぎたのか」と言って、こちらをちらりと見た。違う、就活の話嫌いなの、と言うと、ははは、と笑っていた。泣きそうになりながら焼酎を流し込んで、咳き込んだ。それを見ても笑っていた。
どうしてそんなに楽しくなさそうなの、と友達が言うと、好きな子が「この子就活の話嫌いなの」と言っていた。無言で下を向き続けるわたしは、あのとき確実に彼に甘えていた。
そのときだけじゃなくて、結局わたしはいつでも彼に甘えている。