運命なのか、そうなのか

昨日一昨日と他大のお茶会を回ってきた。文化祭ツマンネ。なんかもうね、自分のテリトリーじゃないところに突っ込んでいくのは気持ちが悪い。変な眼で見られてるんじゃないだろうか、なんて自虐的な自己嫌悪の自信過剰で自意識過剰。浮かんできた単語全部書いたらめちゃくちゃになっちゃった。ま、黒スーツで回るから変な気持ちになるんでしょうけども。学生茶道は準正装がスーツなんですのよ。

で、何がびっくりしたって、その訪問先の大学でなんと元彼に遭遇したことですよ。確かに彼はその大学に通っているけど、でもあんなにたくさん人がいる中で、まさか会わないだろうと思っていたのにもかかわらず、鉢合わせた。あれで少し違う道を通っていたら全然そんなことはなくて、平穏無事に一日終わっていたのかな、と思うとなんとも不思議な気持ち。ま、わたしあまりに校内の設備がよくわからなくてメールしたんですけどね。でも会おうなんて全然、言ってないし、メールしてないし、って、自己弁護でもしてないとやってられない。

久々に、といっても二ヶ月ぶりに会った彼は、ひどくやつれていた。

「あ、あんた痩せ過ぎだよ、大丈夫」
「え、体重変わってないよ」
「痩せたっていうかやつれてるよあんた」
「ああ、それは言えてるね」

と本当に不健康そうな顔で言う彼。相変わらず剃刀負けした肌に、生まれつきらしい眼の下のクマが余計に不健康さを際立たせる。痩せた彼は、割とぴったりとしたグレイのロングTシャツにジーパンを履いて、カメラをぶら下げていた。鍛えてこなかったその体は、ラインがよくわかる服装によって貧相なことになっていた。細いのではなく、ひょろいだった。あんなに太っていた彼が。正直、自分以外にやつれた人を初めて見たので驚いた。
そしてわたしにはどうしても、彼がその大学の環境から浮いているようにしか見えなかった。だって馴染んでなかったもん。

「俺はお茶はよくわからないなぁ」
「そういえば昨日W大行ってきたけど、イライラして仕方がなかったよ」
「ああ、あそこはねぇ、イライラするよねぇ」

と引きつった笑いを浮かべる彼は、しきりに周りを気にしていた。きっとこの人はわたしと一緒にいるところを友人に見られたくないんだろうな、と思っていた矢先に友人と「チョリース」なんて挨拶を交わしていた彼。チョリースってお前。同年代で発言してる人初めて見たよわたし。「さっき誰といたの?」なんて聞かれたりするのかな、なんて必要もない空想妄想期待を胸にふくらませながら、さようならをした。直後に襲ってきたのは吐き気で、やっぱりわたしはなんだか弱っちいなぁ、と思ったのだった。

その五秒後ぐらいに弟に会った。元彼のギター弾いてるところを見にきたのにもうバンドの出演が終わってしまったらしい。馬鹿だ。弟は結局元彼に会うこともなく、焼き鳥を一本だけ食べて帰った。わたしはその後3大学まわって、他大の茶道部の人に二日連続で会って、大学の友達に偶然遭遇して、友達に会って、バイトに行った。バイト先で上のことを話したら、爆笑された。