読んだ

レポート用の「ノルウェイの森」を昨日読み始めて、今読み終わった。今まで機会を逃し続けて読めなかったけれど、やっと読んだ。取り立てて面白かったわけでもつまらなかったわけでもなく、いつものように胸のあたりにもやもやを残したまま話が終わってしまった。
村上春樹の話を読んでいると、性的な表現、つまりマスターベーションだとかセックスに関連したものが、俗物ではなく一次元上に存在しているような錯覚に陥る。射精することをとても素晴らしいこととして描かれているような。本当はそんなことはない、どう考えたって日常生活の中でもわざわざ取り上げるようなことではないのだ。ただ彼の作品に於いて、男から女への性欲を抜くとまったく味気のないものへと変貌するので、欠かせない大事な要素なんだろう。「やれやれ、僕は射精した。」というパロディにとても表されている彼の作品は、やはり生活から少し離れた場所で息をしている。かと思いきや主人公は大学に通っていて、そうだ、「僕」は巻き込まれてやつれはするけどまともな生活を送っていて、近しい人がまともかと思いきや何かを欠落させているのだ。それは大抵女性であり、彼女はパワフルであったり何か魅力を感じさせて、それでいて真ん中から何かを取り去られたような危うさをも抱えている。