割と久しぶりに何もない休日を過ごしている。と言っても夕方頃から出かけないといけないから身支度は整えないといけないのだけど。

カーテンを開けると、青空が広がっていた。居間から玄関に抜けるとキンとした冷たさが体を刺したので、いよいよ冬も到来か、空だって灰色だろうと思っていたので、なかなか驚いた。
空気の入れ替えをしようと窓を開けた。先日知人に、家にいる間は基本的に窓を開けないし、カーテンも閉じたままで暗い室内で過ごしている旨を話したら、「精神衛生上よくはないから、空気の入れ替えぐらいしなよ」と提案された。普段なら今日も窓もカーテンも締め切ったままなので、わたしはきっとその知人のことは割と好きなのだろう。
網戸越しに見る青空はノイズがかっているようで、自分はきっとここから抜け出せないのだろうな、と思いながらぼんやりした。脇に置いたiPhoneからは、ダウンロードしたばかりの新しい音楽が流れていて、きっと隣の住人に聞こえているのだろうなあと思った。暖房の室外機と新しい音楽が入り混じる。生活している音。だけど窓から流れ込むキリリとした冷気には全く人間が過ごすべき暖かさなど感じられず、ただただ気温だけが抽象的な感情を作り出す。
網戸を開けると、綺麗な青空が広がっていた。綺麗な青色だった。わたしの好きな青色だった。と、思い出した。もともとこういう時間が好きだった。何も考えずに、好きな音楽を聞いて、布団にくるまりながら空を眺めてぼんやりするような、そういう時間が好きだった。忘れていた。誰に伝えてもまったく感動も何もないような、そういう時間が、そういう生活が好きだった。すっかり忘れていた。



忘れていたことを思い出したら、なんだか突然寂しくなって悲しくなってどうしようもなくなって、今はもう会えない人のことや過去の楽しかった頃のことを思い出して、いまわたしはまた、再び、「あの頃」に足を取られそうになっている。いつになったら25歳のわたしの気持ちから解放されるのだろう。いつになったら死にたいと願わなくなるのだろう。いつになったら誰も彼もに対して信頼できるようになるのだろう。いつになったらわたしは一人からの愛情を受け取り、それだけで満足できるような心持ちになれるのだろう。